父親たちの星条旗

The Flags of Our Fathers

監督:クリント・イーストウッド
出演:ライアン・フィリップ、アダム・ビーチ
まさかコレを期待している人はいないとは思いますが、いわゆるヒロイックなハリウッド戦争映画を思い浮かべてはいけませぬ。
いろいろと考えさせてくれる作りは、イーストウッドらしいのでしょう。当然、題材が題材だけに、鑑賞後モヤモヤも残ります。
あ、そうそう、直視できないようなシーンもあります。いわゆるスプラッターがダメな方はご注意を。
映画は、有名な星条旗を立てた写真をめぐって、主役の息子が調べる現在、戦地外(戦時中)、戦地(戦地外の過去)、をいったりきたりします。
戦争での影響、犠牲は、戦地だけではない、・・・いろいろ空しさを感じさせてくれました。
劇中ピアノ曲が流れるのですが、それが表情をかえて、更にエンディングからエンディングロールまでドラマをつむいでいて、さすがだな~と感じました。
中心となる3人の兵士をちょろっと紹介。
衛生兵役のドクを演じるライアン・フィリップは、嫁リース・ウィザースプーン
(あれ、”元”だっけ?)に話題をかっさらわれがちですが
このところ「クラッシュ」、これ、となかなか渋いとこおさえてきてますよね。
熱演タイプではなく、さらりと演じている感。
実際のドクも、上手に自分のなかにしまいこんで、ごく普通の一生を送ったとのことで、その冷静なドクらしさを演じていたのかも。
アイラ役のアダム・ビーチは、「ウィンド・トーカー」で、ナバホ族の暗号担当として活躍していた彼。
こちらでも、ネイティブアメリカンの兵士役。
差別と、そして、否応なく運命にまきこまれてしまった果てに・・・かなり考えさせられる役柄です。
戦地では、伝令係に降格させられてしまうが、その性格から、戦地外活動で活躍。
実物も男前のレイニー役にジェシー・ブラッドフォード。
ソダーバーグの「わが街セントルイス」で高い評価を受けたらしいですが、私は未見。コレ!といった役は思い出せません。
ちょっとツアーを一緒にまわったドクにベストマンを頼む。友達はいないから、と。あっけらかんと言っていたけれど、孤独な男にスポットライトがあたるとどうなるのか・・・。
バリー・ペッパー演じるマイクの指導ぶりが、なんとも気持ちが良く、深く印象に残った。
原作は途中だけれど、彼の最後のシーンは、原作とは違う。原作では、マイクの性格を現すラストシーンでしたが、映画は、さらに現実の厳しさとむなしさを感じさせる演出だった。
他にも他にもポール・ウォーカーの演じるハンクも、小さい役柄ながらキラリ光るシーンで登場。
(え?これ贔屓目?(笑))旗を掲げたか掲げなかっただけで、家族の運命までもかえてしまうのでした。
ドクの親友イギー役に、「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルが成長した姿をみせていた。あの映画ファンとしては嬉しいところ。
同じ闘いを日本側からみた作品を撮るというのは、とてもチャレンジング。
日本人として、イーストウッドの真摯な姿勢がとても良い。
ハリウッド映画で日本を撮ると・・・今までおそろしいものをたくさんみせつけられてきましたが(^^ゞ
堂々と、今までだったらオブラートに包んでいた部分を表現し、また、実際の写真に本当に忠実に撮られた場面場面をみていると、日本側の「硫黄島からの手紙」、期待して良いかも。
ずっと封印していた原作を読みはじめているけれど、既に少々映画と違う設定があり、今後比較が楽しみ。
エンディングロールがはじまったからと、席を立ちませんように。

7 thoughts on “父親たちの星条旗

  1. atsumi

    感動というより、勉強になった映画でした。
    私は嫁よりもライアン・フィリップの方に期待を
    しているのですが(これからもいいオファー来るといいなぁ)
    内省的で冷静なドクを好演していましたね。
    耐え難いことはいっぱいあったろうに…。
    帰宅してから無性に「バンド・オブ・ブラザース」が
    見たくなり、DVDを引っ張り出して第6話「衛生兵」
    を見ておりました。
    彼等の姿は何度見ても涙を誘います。

  2. まめ◆atsumi様

    ◆atsumiさま
    そうですよねね
    私も、一般的に使われる”感動”という気持ちは
    自分の中からは出てきませんでした。
    ライアンくん、このところ、ほんと良い役続きですものね
    これからも良いオファーがくるといいですね!
    さらりとした良い人感が、
    原作通りのドクらしさをあらわしていたと思います
    原作を読んで、さらに思いを深めました。
    「バンド・オブ・ブラザーズ」は未見なのです
    衛生兵というエピソードがあるのですね
    再放映があったらチェックしたいと思います

  3. atsumi

    「衛生兵」は本当にお薦めです。何回見ても
    泣けてしまいます。衛生兵の置かれた立場の
    複雑さに押しつぶされそうに(狂いそうに)
    なりながら奮闘するユージーン・ロウ
    という兵士の姿がせつないのです。

  4. まめ◆atsumi様

    ◆atsumiさま
    うーん、お話をうかがっているだけで
    想像がついて、泣けてきそうです(TT)
    映画では、戦場よりも、戦場以外の痛さに
    目がいってしまいましたが
    原作を読んでいて、戦場での衛生兵の大変さ
    (当時、日本兵は、打撃を与えるために、衛生兵をまず狙うという)
    ドクの大変さを、あらためてかみしめて、読んでいます。

  5. 魔女っ子くろちゃんの映画鑑賞記録

    父親たちの星条旗

    ★★★★
    監督:クリント・イーストウッド
    主演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ
    2006年 アメリカ
     太平洋戦争末期、硫黄島。5日で終わるはずだった日本の孤島の戦いは、日本軍の猛攻撃に遭いアメリカ軍は予想だにしない苦戦を強いられた。そんな状況下で撮られた一枚の写真。擂鉢山の頂上に建てられた星条旗は、アメリカ軍の勝利を象徴したものとして、全米が熱狂した。

  6. くりりん

    遅筆につき、やっとこさアップしました。
    おも?い映画でしたが、イーストウッドらしいピアノの旋律がよけいもの悲しくて、ひと味違う戦争映画になったと思います。
    ライアン君、良かったね。さすが期待の注目株です。私も元嫁より、出世してほしいです。
    原作ありきでは仕方ないけれど、二部作というからには、敵国としての日本の顔が見えて欲しかったけれど、最終的なことはもう一本見てからでないと言えないかな。

  7. まめ◆くりりん様

    ◆くりりんさま
    私は、あえて日本の顔をほとんどみせないことで
    逆に臨場感をあらわしているのだと思っていましたが
    そうですね、この映画は、いろんな部分で
    「硫黄島からの手紙」をみてから判断したい
    と思う部分がありました
    公開もうすぐですもんね!楽しみです
    既に「散るぞ悲しき」も読んで待機中です~
    TBありがとうございました♪

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