根岸の物置

「時の物置」稽古日記

■2004/05/21 (金) 08:19:09 全通し

一幕1時間20分 15分休憩を挟んで、3時間弱。
今日は江守さんは全体の流れを演出家として把握するために、代役で全てを通す。
永井さんの戯曲に沢山出て来る「…」はそこで思いを込める「…」ではなく、むしろ食い気味に重ねる気持ちでやってください。と最初の本読みの時にも言われた指示があり、「思いを溜め過ぎず、気楽に楽しむ気持ちで」と通し開始。
いやぁ、実に人の出入りの激しい芝居だ。テンポ、しゃんしゃんといかないと、観る方も人当たりしてしまうかも。
あらためて、女性の作家だなぁと実感する。ある意味、橋田寿賀子作品と共通する女性ならではの感性を通してみて初めて感じた。
この芝居、永井さん自身が演出された過去二回の上演を残念ながら観ていないのだが、きっと男性演出家になって細部デティールでは随分テイストの違ったものになっているのかもしれない。
過去の演技者達はきっと比較出来るだろう、どんな風に感じるか、感想も楽しみだ。
自分達では見慣れてきている細かな面白さにお客さんをどれだけ引き込めるかだな。
私の3シーンは「怒」「哀」「喜」と感情のシチュエーションが、かなりはっきりしているので、舞台上で暖まっていくのではなく、初めからハイテンションで、各シーン登場しなければならず、そこで確信犯になり切れないと、鮮明に描けない。
もっともっとこなれて、余裕で遊びたい。

■2004/05/20 (木) 10:10:08 時間、間違えた!

昨日の朝、睡眠充分なのに多少残ってしまった酒をスッキリ抜いて稽古場に向かいたいと思いつつ、バンドサイト http://home.catv.ne.jp/pp/toshie/にLA写真をアップ出来てすっかり舞い上がっているうちに午前の貴重な時間を使い果たし、慌てて稽古場に向かったら、役者がほとんどいない...
稽古前にまず声録りがあり、関係ない私は二時間早く到着してしまった。
『ああこれならジムに行けた..』
酒に飲まれた前日の反省にプラスの落ち込み...

でもバンドリハテープ聴きつつ有馬さんの自伝読んでいたら、あっと言う間に稽古開始時間。
もっと、本読んだり、音楽聴いたり、時間が欲しいなぁ〜
一幕の終わりから、二幕全部。江守さんも今迄は演出家として徹底してらしたが、数日前から出演役者としても参加され始めた。
「間引いて観てよ」なんて仰られるが、みんなの期待は、もう初めから最高潮。みんな江守さんの演技を楽しもうと目ギラギラ、食い付くように稽古に見入る。さぞかし、やり難いだろうなぁ〜
でも、どうしようもなく俗物なキャラをみんなの期待通り、お茶目に演じてくださって、稽古場大爆笑。
次回はいよいよ全幕通してみるのです。芝居の流れが掴めるのでとても楽しみ。

稽古後、大林監督プロデュースで立川志らくさんが映画「あした」を落語でやるというので国立演芸場へ。
今迄、志らくさん監督作や芝居は拝見していたのだが、肝心の落語を聴く機会を逃していた。凄い!ジャズの名プレーヤーのソロのようなスピード、ダイナミズム、メリハリ『この人右脳で喋ってる!』と思ったら、本当に検査された事が有るらしく、「僕左脳が退化してるんです」なんて仰っていた。お母さまが三味線、お父様がギタリストとミュージシャン家庭で育ったと聞いて、納得。
死の世界から戻った人と、その人達と会うために集まった人々、それぞれまるで違う人生の人間模様を一晩の邂逅に込めた「明日」という作品を見事に落語として演じ切られていらした。
監督は勿論、大林組同窓会の愉しい一夜となった。

■2004/05/19 (水) 09:13:46 懇親会

まず、パンフレットの写真撮り。
スタイリストさんが用意してくださった、出演者微妙にデザイン違いの白のシャツに着替え。
メークさんが、「髪はどんな風にしましようか?」私「ロックにしてください!」
って訳で、芝居とはなんの繋がりもない、金髪ロックミュージカル風顔写真撮影。
事務所の宣材写真は今の金髪ヘアのはないので、頂いていいですか?としっかりお願いしてしまった。写真見るの楽しみ。

さて、その後、全体での懇親会。
二時から飲み始め。
ソムリエ辰巳さんがいらっしゃるからワインはお任せ。
江守さんも絶好調。豪快でチャーミングな江守さんの表情豊かな飲みっぷり拝見しているだけで、凄く楽しい。
その時にやってらっしゃる役の影響も多少あるようで、前の俳界のドンの役の時とまた違った今回の大森のガラッパチ工場長役がちらっと覗いたりする。でも演出家としての割合が心のバランスとして、まだ大半占めていらっしゃるようで、飲みながら歓談しながらも全体に目配りされている。

すっかり調子に乗った私。実は帰りの記憶がない...
ああ、また酒に飲まれてしまった!
嫌だなぁ、この性分。もういい大人なんだから、美しく嗜みたいなぁ〜お酒。

■2004/05/18 (火) 10:02:25 深淵

稽古が始まってから、何故か太ってきている。
脳の活性化を言い訳に稽古場で差し入れの甘いものに毎日手を出してしまうせいなのか?いや、それだけじゃぁないなぁ〜
ライブ前は歌うエネルギー消費と緊張感からか、自然とスリムになって行くのだけど....
そんな困った事態にもめげず、いつも夕暮れ時の何とも言えない時間に稽古が終わり、街は薄ぼんやりと提灯に灯がともり、もう帰り道たまらないのです!
20代、稽古して終わった後は毎晩仲間と酒飲んで、朝薬局で栄養ドリンクひっかけて、また稽古して...それが当たり前に過ごしてきたけれど、子供を持ってからは稽古中の生活サイクルも、まるで変わってしまった。
今度の芝居、身体はほとんど使っていないのだが、頭はメチャクチャ疲れ、やはり酒をぷっつりは断てない。痩せそうもない...

今回のセットは戦後焼け残った古い木造家屋一階の部分。セットチェンジはない。
中央が障子だけで仕切られた、茶の間と簡単なソファがある玄関に続く洋室、奥に台所があるだけ。
私のシーンは三シーン共、茶の間の炬燵を挟んで座った芝居だ。茶の間は下手(舞台に向かって左)なので、下手寄りの方が席は上手より芝居場が見え易い。が、あまり下だと障子に邪魔され、奥の台所が見えなくなってしまう。上、下の席によって、随分印象が違うかも。
で昔の家だから話しが筒抜け。
そこで、私達が茶の間で障子を閉めていても、洋室の会話は全て聞こえてる事でやってみようと江守さんから提案があった。
同人誌の合評会のため同人の原稿を読んでいるだけの、なにも会話がない時間に洋間での芝居のリアクションが全て入る事になる。
おまけに洋間では、私が居ないと思って、もろ私の書いた小説に関しての会話が続く。
当然その後、顔を合せれば、お互い、聞かれた事、聞いた事が前提になっての芝居となる。
複雑、面白い。会話は色んな含みを孕んで進む。
慇懃な中の毒。
うう〜ん、私って人間がシンプルな直球で生きてこれてしまったから、これはかなり難しい。
年齢を重ねて抱え込む、深みも奥行きもある複雑さ。
あらゆる思いが交錯して、口に出している言葉の裏に見え隠れする。
その微妙なバランスをちょっとやり過ぎてしまったら、途端に嘘になって、お客さんはしらけてしまう。
クスッと知的にくすぐる笑いが一番難しい、が、やりがいがある。
どの位、巧妙に企めるか、勝負だなぁ〜

■2004/05/17 (月) 08:55:42 気忙しいオフ

16日、稽古全体が休み。
◆10時
ジムのマシーンで稽古MD聴きつつウォーキング。
昔、つかさんに責められた「人に対してのきつさ」が、人間としての了見の狭さがモロ露呈しているようで厭になる。
次回はもっとたおやかにチャレンジしてみよう。
◆11時
ヨガ。普段は毎日曜受けているのだが、久し振り。
三年目位になるが、40〜50代にかかるこの時期にヨガに出会ったのはとても良かったと思っている。
◆1時
日本橋三越、入江若葉さんと待ち合わせ。ベンガル、一徳さんと4人での大林監督への受賞お祝いを決める。
入江さんの人に物を贈る時の細やかな気遣いが『ああ、見習わなくっちゃ!』と人の「品」を感じる。若葉さんは本当に素敵な人です。
◆3時
博品館 有馬稲子さんの「源氏物語」朗読
凄い!こんな大変な本番を抱えながら、稽古していたなんて!
今迄だって誠心誠意稽古に打ち込んでいらした。
この本番が終わった後は、もっと全開バリバリになるのか!!
ああ、果てしない、先輩大女優のエネルギー...
有馬さんと御一緒させて頂くだけでも、今回の芝居に参加した意味あるなぁ〜と劇場で売られていた有馬さんの自伝を即、購入。
もう、のっけから波瀾万丈の内容にも圧倒される。
◆6時
冷蔵庫にマグネットで押さえたメモ紙に不足のものを息子が書くようにしているのだが「ノンアルコールビール」ちっ!重たいんだぜぇ〜ワンケース!全くよう!
と、ぐちりながら買い物。
◆7時
久々のバンドリハ。当面の目標がないので、ちょっと散漫。
コピーだけなら楽しく終われるけれど、オリジナルを決めていく作業は、雰囲気が俄然シビアに重苦しくなる。
衝突も避けられない。でもここを何とか乗り越えて、自分達らしいバンド色をもっと濃く、深くしていきたい。
12月には新宿ブルースナイト。10月にはライブしたいね。と相談する。

■2004/05/16 (日) 09:16:31 ジムとボーカルスタジオ

稽古はあるのだか、私のシーンはお休み。

久々にジムでお気に入りのプログラムレッスンを受ける。
気持ちいい...が、身体が重い。
シャワーを大急ぎ浴び、音楽スタジオに、おにぎり頬張りながら移動。
こちらも久し振り。ちょっと間が空いていたバンドリハに備え、前リハ中にセッションっぽくなったオリジナルに歌詞を乗っけてみる。
歌もセッションの勢いを大切に、メロディーをアドリブ風になるべく遊んでみる。いいぞいいぞ、良い感じになりそう...なんて独り遊びをしていたら、あっと言う間に二時間が過ぎてしまった。
女優業、母業と並行して、バンドの継続は、かなり気力がいる。
そう、止めてしまう事は簡単なのだから。
この音楽スタジオで過ごす時間も、もう私にとって必要な一部なのだと実感する。

家に戻って、昨日の稽古のMDチェック。台詞の間違いはほぼ無し。
早い。せっかちだなぁ〜。怒っているシーンから始まるので、尚更抑えが効かない。
もう台詞は慣れてきたので、次回はたっぷりやってみよう。
私がたっぷりのつもりでも、それでも人より大分早かったりするのだけど、きっと。

夕方にやっと4月分の領収書整理とかの雑務にも手をつけられる余裕が出来たのだか、我ながら呆れた。
4月2日山中湖、5日京都、6山口、7福岡、9〜11山口、13〜14雲仙、18八ヶ岳、24〜5/1LA&VEGAS
落ち着かなかった訳だ!

机の上もちょっとさっぱりして、腰据えた対戦体勢がやっと整ってきた。

■2004/05/15 (土) 08:12:57 頭痛

稽古場に居ると頭が重くなってくる。
孫悟空の気分。
いや、稽古はとても面白いし、順調に着々と、そして回を重ねるごとに芝居の流れが出て来て、とても楽しいのだけど...
どうもB4という深いフロアに問題があるように思う(世田谷パブリックさん、すみません)
家に帰ると、いつもヘトヘトで、もう頭が全く動かない。
何も出来ず、這うように風呂に入り、倒れ込むように寝てしまう。
他の共演者に聞いてみたら、やはり同じ状態の人がいる。
でも江守さん、元気。有馬さんも元気。
気合いかなぁ?

■2004/05/14 (金) 11:07:53 映画ロケ

昨日は犬童組「いぬのえいが」ロケのために一日稽古を休ませて貰って、青梅へ。
車を自分で運転しつつ、相手の台詞を自分で吹き込んだMDを車から流して、自分の台詞をそれに合わせ、手許のポータブルMDに録音する。
録音するのは、後で台本と照らし合わせ、微妙な覚え間違いがくせになっていないかチェックする。
去年の秋元戯曲で、とことん「てにをは」迄こだわったせいもあるが、なるたけ微塵の狂いを許さず完璧に覚えたい。
ニュアンスは同じでも言い回しが微妙に違っている時って、なにか居心地悪く、結局しっくりこなかったりするものだ。
それも慣れてしまってくせのリズムが付いてしまうと直せなくなってしまうので、早期発見、早期治療、今が重要な処だ。

が、ロケに向かう慣れない山道に、まだ完全にスラスラとは入りきっていない台詞の稽古はかなり危なかった。
カーナビも新しい道に迷って(ん?カーナビが迷った訳じゃないか?)田んぼのあぜ道まがいの道に入ってしまったり。

青葉が目に気持ちいい。
ロケは大好きだ。山に囲まれて、リフレッシュ。

■2004/05/13 (木) 08:49:52 一幕2度目の立ち

全てのシーンの立ちをやっと終えた。やりでがあった。
ほとんどのシーンにかかわり、台詞も動きも多い有馬さんは本当に大変だ。
しゃっきり、きっちり、真剣に毎日臨んでいらっしゃる姿、頼もしい。
大先輩のこういうキリッとした姿、拝見していると、もっと自分も気を引き締めなくちゃ!っと勇気と元気を頂いている。
今度のカンパニー、とても面白いキャスティングだと思う。
自分の事は分らないが、他の配役、適材適所だなぁ〜と、どのシーンも観ていても楽しい。
帰りがけにエレベーターで一緒になった江守さんから「どう?イケてる?この芝居」と聞かれ「面白いですよ......私イケてます?」
結局、役者は自分の事しか考えてないな。

■2004/05/12 (水) 08:23:30 二幕目立ち

6時間弱の稽古なのだが、そのうち自分のシーンの稽古は正味40〜50分位だと思うのだが、終わるとくたくたになっている。
いや、勿論稽古は面白くて、自分の出ていないシーンの演出を観ているのも楽しいのだか。
人の出入りの多い芝居だからか?稽古場がB4だからか?
きっと日本人ならではの細やかな機微が一杯詰まっている芝居だからかも。
観ている側も人の気持ちを憶測したり、引き込まれてしまうだけ、頭がいつの間にかフル回転しているのかも。
各シーンとも家の中を人がめまぐるしく出入りして、家族が、そしてそれぞれにまつわる人が、それぞれの人生の転換期を迎え、大きな事件は何一つ起きはしないのに、みんなが変わっていく...
何かを諦めたり、流されたり、でも挫折を越えて、新たに歩み出そうとする希望もあって。
まだ全部当たりきってはいないが、今日からは一度当たったシーンを掘り下げる作業も始まる。
探りあいだった一度目より、細かな直しが入ってくるのがわくわくする。
昨日の復習(稽古をMDで録音しています)台詞の間違い等、基本はすっきり解決しておかないと。よりジャンプするために。
ジムにも行けていなくて、身体も気持ち悪いので今日は稽古前に立ち寄って充分汗流し、食事も身体もすっきりDayにするつもり。


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