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「imprintぼっけえきょーてぃ」

10月4日
  レッスン初日 まず最初の驚き。’man’の’n’は唇を閉じない。 ‘no’と同じように上アゴ前に舌を当て’n’サウンドを出す。 アメリカから来たダイアローグコーチNadiaは口内の断面図で適確に舌を当てる位置を指示してくれる。何で学校でこういう基本中の基本を教えてくれなかったんだ! LとRが日本人には難しい事は承知していたが、こんな簡単な事….良く使う言葉なのに舌がすっとは動いてくれない。
  そして予測通りのL&R. 特に’R’を豊かな音で響かせるための強く舌を固定する力が全然鍛えられていない。 舌の筋トレがかなり必要だと知る。実際Nadiaの持つ分厚いテキストにはそれぞれの音の成り立ちが理論的に明解に分析され、そして各サウンドごとの膨大なトレ-ニング用フレーズが連記されている。 なんで日本の英語教育には、こういう本がないんだ! と今迄受けて来た、英語教育、英会話レッスンをうらめしく思いつつ、目の前の霧が晴れ、ぼやけていたものの輪郭が見えてきたような気持ちになる。 彼女のずば抜けていい耳は、違いをはっきり聞き分け、そのテキストそのまま実にクリアに実践してみせてくれる。 その惚れ惚れするような奥行きのあるサウンド…..一朝一夕で真似出来るものではないが…. おまけに私の台詞ときたら’Lock her in the linen room.’ L,L,R連打の難関。 Nadiaが’linen closet’に変更したらどうかと提案したが、同席した助監督は「布団部屋」の訳なので、やはり’room’でいきたいと。私も力及ばずながら、頂いた今回の台詞、出来ればひとつも変えないでカットもしないで、全うしたい。 難関は全ていい訓練になるし、もしこれからも英語を喋りたいなら、逃げ続ける事など出来ないのだから。 ‘valuable’ ‘V’と’Bl’4つの音節から成る一つの単語、瞬時に唇と舌を変化させるのはもう慣れしかないと、次回まで常に言い続けると覚悟を決めた。

10月7日
  まず個人レッスン。’linen room”valuable’ 「努力したわね」とここ数日のうなされて、うわ言を言い続けているような日々をNadiaが評価してくれて嬉しい。 が、今迄言えていると思っていた’little’の ‘tl’ が急に気になり出してしまう。 普段ちょっと出来る風にアメリカンして「リロゥー」なんて誤魔化しているが、今回は時代劇なので、かっちりとした発音が要求される。 ‘tl’という音節に躓き出しそうな私に’L’サウンドのテキストをコピーしてくれた。 凄い量、例文を次から次に声に出していくだけで、舌が疲れてくるのが分かる。 完全にアスレチックだ。

  さて、後から来る予定の他出演者と合流するまで、しばしダイアローグを離れて雑談。 Blues Bandをやっている話になって、’バンド名は?’ ‘Toshie&The Blues Road’  ’…..???’ ほらまた通 じない。アメリカ人との会話でいつも ‘Blues’ でつっかえてしまうのだ。 ‘Blues Music’とか’Blues cover band’とか補足してやっと ‘Oh! BLUES!’ と理解して貰うのが常なのだ。
  Nadiaが実に分かりやすく、発音の仕方を解説してくれた。 ‘Bl’まず先に ‘L’ の位 置に舌を用意しておく。上のはぐきの裏に舌を付けた状態だ。その舌をキープして ‘Bl’ と一音節として発音する。’Floor’の ‘Fl’  ’little’の ‘tl’ みんな音節仲間だが ‘Blues’ の難しさはダントツ。 でNadiaが私用の練習フレーズを作ってくれた。
‘Please play the blues on the floor in the linen room’
  他の女郎さん出演者と合流。 ちょっと立ち稽古風に動いてやってみる。 むずがゆい。ああ、気分は『新年かくし芸大会 英語時代劇』

10月12日  
  キャスト揃っての本読み。 主演の工藤夕貴さんの、ふくよかな限り無くネイティブに聞こえる読みを聞いていると、物凄い努力をされたのだろうなぁ~と、そこに至るまでの気の遠くなるような道のりに、思いを馳せてしまう。たった数日前、ことの重大さに気が付いて、へろへろした弱筋肉の舌の、ぺちゃっとした日本語英語の我が身が情けない。

 そして全体の読みが終わった後、撮影インする前の最後の個別のNadiaからのアドバイスで、どぉ~んと分厚い壁が目の前に現れた。 それは訓練で克服出来る発音の問題ではなく表現するその感性そのものの問題なのだ。
  ‘Someone stole my ring!’ と言う台詞で、語気を荒げようと思うと語頭の ‘S’ の音に力が入るのが私にとって(おそらくほとんどの日本人にとって)自然な感情だと思う。 が、Nadia曰く、英語は母音が大事なのだと。’Some’の ‘a’  ’stole’の ‘o’ それが強く響く事が怒りの表現になると。 参った!例えば「しょうがねぇだろ!」吐き出すように言う時「しお~ぅっがねぇ」とは絶対にならない。これはサウンドに含まれた感情表現が、文化的に全く異なっていると受け入れた処から、演技を考え直さないと、今迄、自分が育って来た環境からの自分流は持ち込めないと言う事なのだ。つまり自分の自然な感情に身を任せる事は許されない。 どんなに出来ない発音より、これはショックな発見だった。 日本のスタッフと日本の着物を来て、日本の物語を演じているのに、言語が変わるという事は、かくも重大な事なのかと、青ざめる。 「目指せ国際女優」なんて、そう易々と口に出来るもんではないゾと、目前に立ちはだかった壁の高さに目が眩みそうになった。

某月某日
  夜の東映撮影所。
今朝7時入りでワンカット、その後、外す事が出来ない大きなボリュームの
日本髪デフォルメかつらを付けたまま、夜の10時を回った処です。
頭を10箇所近く、しとしとピッチャンの大五郎のように肉が吊れそうに結わかれ、
その短い毛を三つ編みにして、そこにピンをガシガシに打って
留められている巨大かつら。
頭の中では毛穴ごとミシミシ引っ張られ続けて、痛みはジンジンと続いています。
連日、撮影終えて、湯舟に仰向けに頭を浸してふやかそうと思っても、
頭皮の感覚は翌朝まで戻らない感じです。

 本日の私のツ-カット目は何時になるのか?
何時、やってくるか分からない出番を待って、横になれない頭を持て余したまま
脳も空き時間を有効利用出来る程働かず、ただ一日が過ぎていきます。
全くなんて仕事なんでしょう、と思いつつ、それでも映画の時間は楽しい。
きっと面白いものが出来るぞという期待が物理的なしんどさも
呑み込んでしまいます。
漫然と過ごしてしまうこんな時間さえ、創る一瞬への準備時間と思えば、
まんざら無駄にしている訳ではないゾと、ちょっと誇らしくさえ感じます。
「MONDAY」

「日本初のビジュアル系監督」(宣伝担当の女性曰く)SABU監督の最新作は、ネクタイを頭に巻いたら200円割り引き、月曜日は「飲んだら無敵」の合言葉で200円引きで、ノリのいいシブヤ系若者中心に、劇場の活気も大盛り上がりの様です。私も「弾丸ランナー」をレイトショーで観て、初めてSABU作品に出会った時は、嬉しくって 夜の新宿をスキップしちゃいました。
さてそんな新進気鋭のSABU監督の現場、さぞや張り詰めた空気が…と思うでしょ。
冒頭通夜のシーンは、短いシーンでしたが丸二日かかりました。その間、死体の安藤政信さん以外、生きている方の 出演者は、集団行動で、出るのも一緒、カメラポジションが変わってセッティングを待つのも一緒。セットの横で、待ち時間に退屈した大杉漣さん「ねぇ、しりとりやらない ?」……
いい大人が、と若干の抵抗感がよぎる私達の戸惑いなど全く意に介さず「ウーン、ジャンル絞ろうジャンル。そうねぇ、海のもの!」漣さんの無邪気さにスッカリ引っ張られて、私達こわもてアンチャンと訳知りネェチャンキャストの待ち時間は、保父さんに引率された保育園の子供達のように過ぎていったのでした。

「ひまわり」

娘を亡くした母親役で、「MONDAY」と奇しくも喪服つながりになってしまいました。 非常にハードなスケジュールで、スタッフは毎日睡眠2、3時間の日々。遺体の確認をするシーンで、制作部の女の子が 遺体だったのですが、覆っている白い布をめくると「ウ~ン」.寝返りをうってしまう。カメラや照明の直しのチョットした時間に熟睡しちゃうんですね。ただ寝てるならまだいいけど、寝返りは困る。死体ですから。本番の時は「本番だぞ、寝るなよ!眠るな!」雪山の遭難状態でした。
そんな意識朦朧スタッフ(失礼)を全速で疾走させるハメにさせた、車のエンストシーン。急にエンジンのかかった車を喪服で追い駆ける、哀しくも可笑しい私の好きなシーンです。
横位置から出演者の走りにあわせ平行移動しての撮影。「少しスピ-ド盗みましょうか?」「大丈夫でス!加減しないでください!ついて行きますから!」はっきり言い切る行定監督とカメラマンの福本さん。「ヨーイ、スタート!」全速力で走る私の目の端しに写 る、あらゆるスタッフのアクシデント…… カメラの台車のスピードが加速して、引いている本人が轢かれそうになる撮影部。レフ板持ったまま転んで脱落してゆく照明部。いつもならヘッドホンしたままドッカと腰掛けて、助手にマイクの指示出していれば済むのに、重い録音機材抱えてヒ-ヒ-走っている、録音技師さん。素敵です。涙が出る程。銃弾を縫って進んでいくような戦友達の悪戦苦闘の勇姿に胸打たれ、みんなで創ってるんだ!!映画一番の醍醐味に酔った一瞬でした。

「日本の黒い夏~冤罪~」
常々思っている事ですが、台詞覚える事 さえなければ
役者の仕事程楽しいものはありません。
たったワンシーン、半ペ-ジ程の台詞なのに、頭が爆発しそうなおもいをしました。
医師の役なので、「 アセチルコリン」だとか「コリンエステラーゼ」だとか普段全く縁のない台詞は、すぐにこぼれていってしまいそうで、撮影前日はマジでうなされました。
黒澤明監督の、お孫さんの加藤隆之さんと二人だけのシーンだったので、本来ならば監督の話でもしながら、先輩らしい包容力で 気分をリラックスさせてあげ、可愛がって頂いた黒澤監督への御恩に報いる、いい機会だったのに…もう自分の事だけで目一杯。みっともない初共演。地獄のワンシーン、ワンカット。賢い役は大変だ。

「HOTOKE」 

ヒロインが少女の頃から、義父の相手を強制的にさせている、鬼のような母親役で、登場シーン全てがエキセントリック&常識はずれ。初日の撮影が回想シーンで、早速6才の女の子をひっぱだかなければならない。髪の長い、瞳の大きな美少女で、こんな可愛い子相手に『愛を乞うひと』やる訳ぇ~と、気が重いのなんのって。待機中のバスの中で、「おばちゃんが、ホッペかすったら、自分からバーンって吹っ飛ぶんだよ」とか「髪の毛引っ張るふりするから、頭自分でぐるぐる回してね」とか自主的に作戦会議開いたものの、いたいけな少女がそんなアクションスター並みの立ち回り、出来るはずがない。やっぱり本気で叩くしか無いのかしら‥原田美枝子さんはどうやってたのかしら‥はしゃいでいる子役とはうらはらに、どんどん落ち込んでゆく私。エエィッ!っとヤケクソで入ったロケセットの中、なにやら座椅子の背もたれ部分が棒になっている、へんてこな物が。監督曰く「僕が考案した、ひっぱだき棒です」???女の子の座高丁度に合わせた其の棒座椅子、女の子が座ると正面 のカメラからは見えない。棒の一番上を叩けば、頭を叩いてる様に見えるから、と言うのです。『え~ウソっ!』と最初は思ったのですが、手加減せずに思い切り叩けるから、やたら迫力がある!おまけに少女の頭はそんなに大きく揺れないから、表情にズームアップ出来て、彼女の心象風景まで浮き彫りになってくる。この前代未聞のひっぱだき棒のお陰で、かなり容赦の無い残酷なシーンが撮れたのでした。きっとご覧くださる方は、根岸は酷い奴だと思うに違い有りません。でも本当に痛い思いをしたのは、彼女の頭ではなく、私の手なのです。 せめてこれをお読みくださった方は、根岸の手に同情してやってくださいねぇ。

「Re-set」    
いかに素敵な体験であったかは、既に雑感でも書きましたが、ここでは、撮影シュ-ト迄の役者達の挙動について触れたいと思います。実際こちらを追ってドキュメント撮影した方が面 白いんじゃないかと思える程、それぞれが極度の緊張に追い詰められて行く様。みものでした。
15:00現場 サロンカーを役者控え室として用意して頂き、おやつもあって、普段のロケバスよりかなりいい待遇に、みんな若干はしゃぎ気味。
16:00バス内にて、初めて監督役者全て揃った打ち合わせ。登場順、死に順等、けれど1人死んだ後の事は、流れに任せると…どこまでもアバウト。
17:00現場見学。カメラポジション。行動範囲。死んだら隠れる場所等チェック。
18:00衣装メ-ク準備開始。20:00シュ-ト予定迄の二時間。役者の動向が少しづつおかしくなってきました。 サロンカーのすぐ前に飲み屋さんがありました。遠藤、制作部さんに「レモンサワ-出前してくんないかなぁ」結局コンビニで焼酎ペットボトルを買って来て貰って「いつもこんな事してる訳じゃないんだよ」とか弁解しながら、飲み出した。メークをしていた私の処に光石さんが可笑しそうに報告にやって来ました。「洋三郎さん、役づくりに散歩してくるって云って出たのに、真っ青な顔して『悪寒がしてきた』って戻って来ちゃいましたよ。」
此処迄は光石さんも余裕っぽかったんですが、残り30分切った頃、何故か私と二人きりになってしまったら、喋る喋る。「なんか海外の空港から、ホテルに電車で行く気分ですよね。大丈夫かなぁ…でもまぁなんとかなるだろうって….」などとコーヒーがぶがぶ飲みながら、とめど無い。礼子ちゃんの姿が見えないなぁ。と思っていたら、これは後から知ったんですが、彼女トイレで戻していた。本番直前もずっと咳き込んでいて、私ティッシュ差し出しかけ、『おっ、これ導入部として使えるか』っと「本番まわってから、あげるね」って言ったら「イイデスッ!」ってマジ怒ってました。みんなに共通 していたのはトイレがやたら近い。 こんな風に面白がって書いている私はどうだったのかって?自分の事は知りませ~ん。

 

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